野学校授業の記録(第一回~十回)



 ※講演内容は、授業の案内チラシから、抜粋いたしました。 

 プロフィールは授業当時のものですのでご了承ください。


野学校 授業の記録(第一回~第十回)

 

第一回

2012511日(金) 19:00    大崎第1区民集会所第2集会室

講 師:西川和夫(さいがわかずお)さん

テーマ:「西川和夫のアフリカいいとこ(か?) ~ 出合った人、獣、ことば ~」

講演内容:アフリカの野生動物保護について、その仕組みや考えを簡単に紹介します。続いて、野生動物保護の現場で遭遇した様々な出来事、出合った人々から得た心に残ったアドバイスなどを紹介しながら、古き良き?時代の話、密猟のこと、今の潮流、個人的に感ずる保護のあり方などお話します。野生動物管理の嵐が吹き始めた日本で、反面教師の部分も含め、参考になればと思います。

講師紹介:1950年新潟県柏崎市生まれ。1974年日本獣医畜産大学《現日本獣医生命科学大学》獣医科卒業。環境調査アルバイト、動物病院勤務などの後1985年より1989年まで青年海外協力隊員としてザンビア国立公園野生生物局の生態調査官として勤務。1990年よりケニア野生生物公社に国際協力事業団《現国際協力機構》派遣専門家として関わり、1992年より96年まで獣医部門・自然保護教育部門計画官として勤務。現在東京環境工科専門学校嘱託、ザンビア国立公園連絡会(Pukuの会)会員。

 

第二回

2012年6月22日(金) 19:00~21:00  大崎第1区民集会所第2集会室

講 師:鈴木孝夫(すずきたかお)さん

テーマ: 昭和初期から現在まで~私の見聞きした野鳥をめぐるお話

お話の概要 :昔の東京にはまだ自然が残っていて、私の目黒西郷山の家で記録した鳥は約120種にも達していた。それが今では10種にもならないほど自然が荒廃したこと、そして全く同じことが、一見豊かな自然が残っているかに見える軽井沢でも進行していることなどにふれながら、鳥や野鳥の会をめぐるような話をしてみたい。

プロフィール :1926年生まれ、85歳。現在、慶応義塾大学名誉教授で専門は言語社会学。アマチュアの立場から日本野鳥の会、日本鳥類保護連盟の理事をつとめた。日本鳥学会終身会員。小学校6年のとき、野鳥の会創立者の中西悟堂氏を知り、以来何かとお手伝いをしてきた。都会が大嫌いで最近まで約50年間、1年の1/3を長野県軽井沢で過ごしてきた。

 

第三回

201211月2日(金) 18:3021:00  大崎第1区民集会所第1集会室

講 師: 石 弘之(いし ひろゆき)さん

■お話の概要 :最近関心を持っているのが、ウイルスと環境の関係です。生物が地球上に誕生して三十数億年。地球の歴史は生物進化の歴史でもあります。生物進化の歴史のかなりがウイルスの遺伝子の持ち込みによって起きたらしいことがわかってきました。地球温暖化や生物多様性などの環境問題にも大きく関わっていることが、次々に明らかにされています。ウイルスの提起した生物学の革命と環境問題の関係について、従来の環境問題と違った切り口で話してみたいと思っています。

■講師プロフィール :1940年東京都生まれ。東京大学卒業。環境学専攻。世界の約130ヶ国を現地調査する行動的研究者である。朝日新聞編集委員。国連環境計画上級顧問。東京大学大学院教授。ザンビア全権大使。北海道大学大学院教授などを歴任。主な著書に『地球環境報告Ⅰ・Ⅱ』『キリマンジャロの雪が消えていく』(いずれも岩波新書)、『子どもたちのアフリカ』『名作の中の地球環境史』(いずれも岩波書店)、『地球環境「危機」報告』(有斐閣)、『火山噴火・動物虐殺・人口爆発-20万年の地球環境史』(歴史新書y)、『環境と文明の世界史』(共著・新書y)など多数。

 

第四回

2013年2月8日(金) 18:3021:00  大崎第1区民集会所第1集会室

講 師 : 小岩屋 敏(こいわや さとし)さん

お話の概要

(1)昆虫標本商(インセクト・ハンター)とはナニモノか

現在生きている外国のクワガタやカブトムシ(=生き虫)がたくさん販売されていますが、それらを売っているのは主に熱帯魚やペットを扱っていた業者。由緒正しい?標本商は「死んでいる昆虫標本」(=死に虫)のみを扱う。そこで、プラントハンターの登場。パンダをヨーロッパに紹介したダビッド神父や進化論で有名なダーウィンや「ダーウィンに消された男」として有名なアルフレッド・ウォーレスも、広い意味でのプラントハンター。ほかに青いケシや多種多様のシャクナゲをヨーロッパに持ち帰ったキングドン・ウォードもプラントハンター。それらの中で、昆虫の探索に特化した人たちを「インセクト・ハンター」と呼びます。世間に全く知られていないインセクト・ハンターの生態や内幕を赤裸々に詳述します。

(2)チベット・ミャンマー・ラオスの旅

1986年から2002年にかけて、珍しいチョウを求めて中国(特にチベット)・ミャンマー・ラオスの山中を旅した記録を映像で紹介。2.9mと、アジア最長の生きたミミズの映像も出てきます。

講師プロフィール

1947年1月18日(ビートたけしと同じ日)、宮崎市生まれ、65歳。東京大学農学部中退後、仲間2人と昆虫専門誌「月刊むし」を創刊。その後独立して東京・宮崎で標本商(=昆虫標本の輸入販売業=インセクト・ハンター)を営み、珍しい昆虫、特にチョウを求めてチベットやミャンマーやラオスの山中を彷徨。これまでに約80種のチョウの新種を発見・記載(エラソーに言いますが存命している蝶の分類研究者としては世界一)。ほかにチョウの幼虫を約500種発見して飼育。著書として「世界のゼフィルス(注:旧北区を中心に世界に約190種分布するシジミチョウのグループ)大図鑑」(むし社)、「中国蝶類研究1~3巻」(自刊)。日本昆虫協会会長、日本蝶類学会理事。現在は宮崎市に住み、自治会長( もうすぐ9年目)など地域のボランティアとして住民の皆さんにこき使われている。

 

第五回

2013511日(土)13:30~16:20 大崎第1区民集会所第1集会室

講 師:依光隆明(よりみつ・たかあき)さん

テーマ:東京の人が知っておかねばならない福島の現実

内 容:「プロメテウスの罠」の取材を通して見えた福島の実情について。事故直後のありさまや現況、賠償、帰還など、幾つかの問題点を話します。「プロメテウスの罠」は住民目線が特徴の連載なので、話の軸は被災者です。原発のプラントについては触れません。

講師プロフィール

1957年高知市生まれ。81年高知新聞社入社。社会部、経済部、東京支社編集部長などを経て2005年社会部長。0811月末日高知新聞を退社し、翌日、朝日新聞に入社。水戸総局長、特別報道部長などを経て編集委員。「プロメテウスの罠」取材班キャップ。

 

第六回

2013年7月6日(金) 8002100  

・講 鶴見みや古(つるみ・みやこ)さん (公益財団法人 山階鳥類研究所自然誌研究室長)

・テーマ 鳥の体を利用して生きる虫たち ―外部寄生虫の世界―

お話の概要

鳥はもっとも私たちの身近に暮らす生き物のひとつですが、その身近な鳥の周辺で目立たぬように、されどしたたかにに生きている小さき者,それが寄生虫です。今回は寄生虫のなかでも鳥類に寄生するダニやハジラミなど外部寄生虫について,その種類や鳥とのかかわりについて,その一端をご紹介させていただきます。また、外部寄生虫の中には、人獣共通感染症を媒介するものも存在します。それらについてもお話しできればと思います。

講師プロフィール

群馬県生まれ。東京農業大学農学部農学科卒業。1985年から山階鳥類研究所資料室に勤務。現在、(まさかの)自然誌研究室長。図書担当。大学在学中、鳥類標識調査で外部寄生虫(ハジラミ)に遭い、「これだ!」と思い昆虫学研究室へ(専攻生)。しかし、山階鳥研に職を得たものの、仕事は図書管理。未整理の資料の山を相手にデータベース作成など図書整備に従事。寄生虫の仕事は今では休日や仕事の合間をぬってのライフワーク。標識調査や標本材料(鳥の死体)から細々と採集を行っている。

 

第七回目

2013年年1011日(金)18:3021:00  大崎第1区民集会所第1集会室

・講 前田憲男(まえだ・のりお)さん

・テーマ :「ぶらり日本列島カエル見聞録」

お話の概要

カエルは活動範囲が狭い生物で、繁殖には水が不可欠です。日本に棲息するカエルは熱帯産の様な派手さはありませんが、東西に長い日本列島ではそれなりにユニークな生活をしている種類もいます。日本各地を訪れ、見かけたカエル達の姿と意外な鳴き声を紹介させて頂きます。今年新種として論文が発表された佐渡の「サドガエル」も紹介致します。

講師プロフィール

高知県安芸郡生れ、写真のテーマを探していたおり、ライフワークとして独自でカエルの撮影を開始する。最初に出版に関わったのは野鳥の解説と写真である。転職を繰り返しながら国内のカエル全種類の撮影目指し、カエルの鳴き声も分析に必要となり、鳴き声の録音も開始する。現在、年金暮らしで気ままに各地を訪れ自然との関わりを楽しんでいる。

 

第八回

2014年4月5日(土) 13:30~16:20 大崎第1区民集会所第1集会室

・講 中坪禮治(なかつぼ・れいじ)さん

・テーマ :「今だから言える野鳥昔話」

お話の概要

いつ、どのように野鳥に出会い、野鳥を学んだのか。また、中西悟堂、山階芳麿、その他野鳥関係者との交流、各野鳥団体草分けの頃の方々の話。「自然のアルバム」の思い出、撮影、録音の裏話、苦労話など。NHK の自然番組の変遷、「鳥類保護連盟」の時代のことなど、今だから言える話も。

講師プロフィール

1926 年東京生まれ。1954 年にNHK入局、1960 4 月から「自然のアルバム」がスタート、その中心として活躍する。「東南アジアの自然をたずねて」(1961~)、「日本の自然」(1965~)、「アジアの自然」(1969~)など、多くの自然番組を手がけ、日本鳥類保護連盟企画委員、日本鳥学会評議員など歴任し、内田清之助氏・中西悟堂氏・山階芳磨氏ら鳥類関係者と交流を深めた。NHK退職後に日本鳥類保護連盟専務理事として活躍。著書は「趣味の野外録音」(共著)、「季節の小鳥」、「四季に鳴く」「自然のアルバム」「アジアの自然Ⅰ・Ⅱ」など多数。こうもり傘を利用した「こうもり傘集音器」を創作、今も多くの野鳥録音ファンが利用している。

 

第九回

2014年7月19日(土) 13:30~16:20 大崎第1区民集会所第1集会室

・講   大庭照代(おおばてるよ)さん

・テーマ :「ききみみずきんはどこへ行った~耳を頼りに自然を観察するために」

お話の概要

 多くの人をひきつける鳥たちの鳴き声の美しさや不思議さを、千葉県立中央博物館が収蔵する とっておきの録音資料を使って解説します。また、野外観察地<生態園>25年の間進めてきた野鳥調査と鳥の声を聞き分ける活動などについて、映像や音とともにご紹介します。とくに、身近な鳥の鳴き声から種を識別する学習プログラムの現状を報告します。 

講師プロフィール  

ロンドン大学で鳥類の音声コミュニケーションを学んだ後、千葉県立中央博物館に25年間勤務。同館を本年3月末に定年退職後、4月から再び同館生態学・環境研究科で生態園野鳥観察舎と生物音響資料を担当。音声認識技術を活用した自然観察と音環境調査を結びつけた活動を研究。 

 

第十回

201411月1日(土) 13:30~16:20 大崎第1区民集会所第1集会室

・講   根本正之(ねもと まさゆき)さん

・テーマ :「日本らしい自然を取り戻すために――野草地の調査と実践から」

お話の内容

日本人は雑草社会と深く関わることで“日本らしい自然”を築き、親しみ、利用してきました。しかし多くの場所で外来植物がまん延し、日本らしさが失われています。その原因を探ります。また、どうしたら古来からの日本らしい自然を取り戻すことが出来るのか、東大田無の農場での実験と、荒川区汐入小学校の総合学習で生徒と共に取り組んでいる、隅田川スーパー堤防での“自然再生授業”についてお話します。

講師プロフィール  

1946年東京生まれ。千葉大学理学部卒業。東北大学大学院農学研究科修了。農学博士。専門は植物生態学。農林水産省農業環境技術研究所、東京農業大学地域環境科学部教授を経て、現在、東京大学大学院農学生命科学研究科・付属生態調和農学機構特任研究員、明治大学客員教授。

著書に、『雑草社会がつくる日本らしい自然』(築地書館)、『日本らしい自然と多様性』『砂漠化ってなんだろう』(ともに岩波ジュニア新書)、『砂漠化する地球の診断』『雑草たちの陣取り合戦』(ともに小峰書店)など。

 

 


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